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補足:切片について

弊社では切片の作製には主にパラフィン法と凍結法を用いております。切片作製の際の注意点をご紹介いたしますので、切片をご提供していただく場合はもちろん、切片作製からご依頼いただく方も、ぜひご一読ください。

各切片の特徴

<パラフィン切片>

<凍結切片>

固定法

in situ ハイブリダイゼーションに用いるサンプルの固定は、下記の手順で実施することを推奨しています。固定液中のサンプルを送付していただくことはできませんので、エタノールに置換した状態でサンプルをご送付ください。なお、全ての操作は、RNase が混入しない環境で実施してください。

4%パラホルムアルデヒド固定、アルコールによる脱水 組織の体積の10倍量以上の 4%パラホルムアルデヒド/PBT (0.1%Tween in PBS) (RNase-free) 溶液で約1時間の固定(4℃)を行ってください。さらに液交換を行った後、12時間以上(4℃)の固定を行ってください。

次に、下記の操作でアルコールによる脱水を行ってください。

  1. PBT (RNase-free) :10分×2回(4℃)
  2. 25% Et-OH / PBT (RNase-free):10分(4℃)
  3. 50% Et-OH / PBT (RNase-free):10分(4℃)
  4. 75% Et-OH / H2O (RNase-free):10分(4℃)
  5. 100% Et-OH:10分×2回(4℃)
  6. 冷凍保存(-20℃)

固定・脱水後のサンプルを送付される場合は、コニカルチューブを100% Et-OH で満たし、液が漏れないように密封し、冷凍便でお送りください。

固定液の作製法(20%パラホルムアルデヒド (PFA) 溶液 (50mL)の調製)

10 g のパラホルムアルデヒド粉末に 30 mL の超純水を加え、10 N NaOH を 100 μ 加え、65℃で溶解させる。パラホルムアルデヒドが溶解後、超純水で50 mL にメスアップする。氷上にて冷却後、0.45μm 径のフィルターで濾過して使用する。使用直前に20%パラホルムアルデヒド溶液をPBTで5倍に希釈し、4%パラホルムアルデヒド/PBTとする。

作製の注意点

in situ ハイブリダイゼーションに用いる切片は、RNaseの混入しない環境で切片を作製してください。手袋・マスクを着用し、ヒトの汗や唾液等の混入を防止してください。サンプルは高温下で長時間処理されますので、切片作業に用いるスライドガラスは、剥離防止コート処理(MAS等)されたスライドガラスを用いてください。

保存について

作製した切片に関しては、−20℃〜4℃で保存するのが一般的ですが、RNAや形態の保持のため、保存期間の目安は最長でも2〜3ヶ月程度です。可能な限り新鮮な切片(作製後1ヶ月以内)のご提供をお願いします。

切片の厚さ

in situ ハイブリダイゼーションの場合は切片の厚さを調節することで、シグナルの強度を上げることができます(弊社標準は10μm)。切片の種類、組織によっては、作製できる切片の厚さに限度がありますので、事前にご相談ください。

薄切面の指定

組織のご希望の薄切面をご指定ください。特に脳や心臓のように組織に方向性がある組織の場合、必ず断面をご指定してください。例えば脳の場合、水平面、環状面、矢状面であるか、また基準となるブレグマや正中面からの位置をご指定いただきます。他の組織の場合も切片の断面をできるだけ詳細にご指定ください。

マウス脳断面の模式図

水平面、環状面、矢状面のどの断面であるか、またどの位置で切断するかという情報が必要です。下にはマウス脳をどのように薄片化しているのかを模式的に示しています。上から環状面、水平面、矢状面の切断位置を赤線で示しています。各断面にそれぞれ薄切した切片のHE染色像を右に示します。このように切断面を指定していただくことがとても重要です。

マウス脳の切断面について